James Young – アイデアの作り方

普通とちょっと違った面白いことをするためには、アイデアが必要だ。アイデアがどのように湧き出てくるのか、その一般的な方法が見つかったら助かる人は作家、科学者、発明家のみならず大勢いるんじゃない?

今日紹介するのは、アイデア作成に分業を持ち込んで、どうやってアイデアが生まれているか解説したこの本。


アイデアのつくり方

本自体は非常に薄く、しかも文字がでかい。だけど、内容は凝縮されているので、この短さはむしろ長所だ。

この本によると、新しいアイデアはいきなり湧いて出てくるものではない。

表面だけみると、アイデアはいきなり生じているようにみえるけど、その内部では様々な段階を経ている。ここでは、そのプロセスを5段階に分けて説明している。

アイデアとは?

そもそも、アイデアとはなんだろうか?抽象的な概念で規定できないような気もするけど、それだと話が進まない。

この本の中では「新しいアイデアは既存の要素の新しい組み合わせに他ならない」と明確に決められている。

この観点は、この本の中で最も強調すべき重要な点だ。定義を与えると何をしなきゃいけないのかよく分かる。この定義から分かるのは、新しいアイデアを作りたいなら、既存のアイデアを知ってないと話にならないってこと。

1. 資料集め

そこで、まずはじめのプロセスは資料集めになる。このプロセスは重要なのに、無視されることも多い。なぜなら、単純にめんどくさいからね。

実際に資料を集めたり、それを分類するのは雑仕事だ。資料を集める時間をぼんやりと過ごしてみたり、直感が降りてくるのを待っていたりすることが、よくある。

しかし、このプロセスを経ずしてアイデアを生み出すことはできない。

資料には特殊資料と一般資料の二種類がある。特殊資料は今取り扱っている問題に関連した資料のことをさしていて、必ず必要だ。ただし、特殊資料をただ闇雲に集めるだけではだめで、収集する過程で多数の事実と事実の間の関連性を探すことが重要。

一方、一般資料は、生活の上で集められるさまざまな知識を指す。これは直接は今の問題に関係ないけど、実は重要。なぜなら、新しいアイデアは既存のテリトリーの間にあるからである。特殊資料だけだと、新しいアイデアは湧いてこない。一般的資料集めは生涯続く。

2. 見直し

次のプロセスでは集めた資料をもう一度よく見直して、関連性を見つけていく。

具体的には、新しい分類法を自分で作って分類してみるのが分かりやすい。例えば小説のアイデアが欲しいなら、過去の小説を内容の時間軸で分類してみるとか(これは松岡正剛さんが提唱しているやり方)。

新しいルールを作ることで、今までの認識でかけていたものは何かが明らかになっていく。

この過程でアイデアの種が多数出てくるから、それをノートもしくはカードに文章として書き留めていく。ここで、実際に文章にするのが重要。

どんなに突飛だと思われても、書いて保存する。これを徹底的にやって、これ以上でないもうダメだと思ったら次のステップに行く。

この段階を終わる頃には、何が問題なのかや何が欠けているのかを認識できているはずだ。

3. 離れる

第3段階は問題を完全に放置して、何でもいいから自分の想像力や感情を刺激するものに心を移すこと。音楽を聞く、映画を見る、劇場に出かけるなどをするとよい…らしい。

そして、解決策や欠けているものを生み出す方法を思いつくまで待つ。

4. 思いつく

第4段階はアイデアを思いつくこと。能動的にはむずかしいけど、今までの第三段階をしっかりやってきたら必ず訪れる。

第四段階まででアイデアは生まれた。だけど、アイデアは思いついて終わりじゃあない。最後の段階がある意味、最も重要だ。

5. 共有する

第5段階はそのアイデアを発表して、共有すること。発表しないアイデアは、誰も理解できない。

まずは理解ある人にそのアイデアを話す。思いついたときは、あまり現実と整合しない様に見えても、良いアイデアは自分で成長していく。

まとめ

以上の5段階がアイデア作成の王道らしい。

よく見てみると実際に能動的な作業が必要なのは1,2,5だけ。アイデアを作る段階では1,2しかない。つまり、実際に人間が出来るのは資料集め&関連性の分析だけってことだ。

これをやって、あとは待つしかない。

言ってることは至極まとも、だけど実行するのが難しい。特に最初の資料集めが、ホント面倒臭いからね。進歩が見られない段階だし。

アイデア作成は、もやもやとした言葉が与えられていない事柄に言葉を当てる作業。何が問題か、それを見出すことがまず最初で、その次に解決策がくる。そのために、今までのことを調べる必要がある。

ちなみに、ノーベル賞受賞物理学者 R. Feynman の問題解決法はもっとシンプル。

The Feynman Problem-Solving Algorithm:

  1. Write down the problem
  2. Think very hard
  3. Write down the answer

ね、簡単でしょ(笑)

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