色々な作家の締め切り前や締め切りへの思いが載っている。着眼点が面白い本。

寺田寅彦も締め切りに間に合わないことがあったようだ。担当の編集者に洒落た文章で詫びている文章が載っている。

面白かったのは、外山滋比古が締め切りは守るのが当然という文脈で、何時ものような論理的な文章で守らない人を一蹴する一方で、寅彦を引用して彼は締め切りを守ると褒めていることだ。自説を補強するためにうまく切りはりし、自画自賛できる人は締め切りを守りやすいのだろう。森博嗣も締め切り守る系で、守らない人を攻撃しがちだ。

これらの人は多産ではあるが、自分の人生に影響を与えるような文章を書く人ではない。村上春樹も守る人だが、人は攻撃していない。概して、自分は締め切り守る系の人の話を好きではないようだ。それに比べて、色々検証して考える人はなかなか筆が進まないが、面白い文を書くこともある。