とてもエキサイティング。古澤先生の考え方が如実に現れている。自分の芯を忘れず進むことが、とても大切だ。
古澤先生は光を使った量子コンピュータを独自に研究している面白い研究者だ。元々はニコンで研究されて、今は東大の物理工学科の教授である。
今量子コンピュータがブームになっているが、実際に使えるまでにはまだまだ遠い道のりがある。現在中心的に研究されているのは、固体デバイスの超伝導量子ビットを元にしたコンピュータである。しかし、このやり方はなかなかスケールしない。絶対零度付近の超低温が必要だし、制御もとても難しい。
一方、古澤先生は光を使ってこの問題に取り組んでいる。光の量子テレポーテーションや、スクイージングを利用して、安定的な量子もつれの生成を作り出している。これは、今までの方針とは全く違うもので、独自性があり、面白い。そして、今後の展望もあるようだ。
ただし、散逸をちゃんと考慮していないような感じを受けた。特に最後にあった、武田俊太郎助教の作ったループ型光量子コンピュータは測定してその情報をフィードバックしているが、測定のバックアクションの影響が重要になるだろう。
とはいえ、これからの熱い時代を予想させる本だった。特に最後が熱い。
「人生を遊んで、大いに楽しみ、大きな成果を出す。そのためにも、常に人がいかない道を歩む。流行はいつか廃れるし、人が多すぎると過当競争に巻き込まれる。息の長い仕事をしたければ、我が道を歩むこと。そのとき人によっては、孤独や不安を感じることがあるだろう。だからこそ、心の底から楽しいと思うことをやるべきだ。」
この言葉には全く同意だ。。