川口淳一郎 – 閃く脳の作り方

はやぶさの帰還に日本全体が熱狂して、早二年。イトカワのサンプルリターンと言う偉業達成のあと、日本は東日本大震災を経験し、今も議論が続いている原発関連問題など大きな転換点を迎えているようにみえる。

そこで、今日紹介するのはこの本。

閃く脳の作り方 飛躍を起こすのに必要な11のこと

著者は「はやぶさ計画」の元プロデューサーである川口淳一郎博士。新しいことをやる方法、大規模プロジェクトへの立ち向かい方、困難なことへの対処方法が書かれている。一種の自己啓発本だ。

サンプルリターンが出来るということは、隕石を地球に降らせることもできる(まるでメテオだ)。国防上の観点から見ても、すごい技術を手に入れたわけだ。

だけどそもそも、なぜサンプルリターンに挑戦しようと思ったのか。このサンプルリターンに限らず、出来てしまえば面白いことはわかっているけど、本当に出来るのだろうかとか考えだすと空想で終わってしまうことがよくある。

これが「何をするか(What)」を考える上で重要な点だ。

帯にあった「Howをいくら積み上げてもWhatは生まれない。」はまさしく至言。ここで、Howとはどうやってやるかという手段のこと、Whatとは何をやるかという目的のことを指す。

自分もそうなんだけど、何かやるときにまず出来ることからやってしまう癖がある。これがHowの呪縛だ。

この呪縛は学校教育を通して徐々に積み上げられていく。義務教育はどうやって問題を解くかに焦点が当てられており、どんな問題に個々人が取り組むべきかを教えない。そこで、学校教育を経ると、何かやるときに、どうやってやるかということを第一に探す癖が付けられてしまう。

課題を与えられて、問題を解く分にはそれでいい。しかし、いつも問題がはっきりしているわけではない。むしろ学校の外では自分で目的を設定する事のほうが必要だ。

最初は、取り組む意義は何か・本当にそれを自分がしたいのかという事を探すことに時間をかけようってこと。

目的は個々人で違う。だから、いくら本を読んだって、他人を観察したって目的は見えてくるものではない。自分は何がしたいのか。まずはタガを外して考えてみる。目的達成の手段はまだ考えない。

ただ、自分が何をしたいかは意外と自分で意識できないものでもある。

目的探しに苦労すると、他人の目的を自分の目的にすり替えて行ってしまうことがある。これは仲間の中で生きていく社会性動物(人間)の宿命だ。

だから、たとえ自分が本当にやりたいことがなかったとしても、それで問題があるわけではない。人に与えられた目的でも達成できれば満足感があるし、褒められ認められるものだ。人間が欲しているのは承認欲求なので、それはそれでいい生き方だと思う。

だけど、今の時代はリーダーが絵を描けていない。みんなが楽しく生きて行くために必要なことを提示できていない。だからこそ、満足できる生き方を自分で見つけなければ。これは高度経済成長期の日本とは大きく違う点だ。

満足できることを見つけられた時点で、人生の目的の一部は達成されたも同然。
あとは、どうやってそれを実行するか。解決策は必ずあると信じて行こう。

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