瀧本哲史 – 僕は君たちに武器を配りたい

なかなか挑戦的なタイトル。思わず手に取ってしまった。著者は元コンサルで今は京大の准教授の瀧本哲史。京大での講義を元にして書いた本らしい。講義は一昨年もやってたんだろうか?出ればよかった。

内容は今の世界の取り巻く環境の解説だ。タイトルには対処方法を教えるとあるが、基本原則論のみです。具体的なアドバイスには個人の背景を考える必要があるから、仕方ないんだけど。

タイトル:僕は君たちに武器を配りたい
著者:瀧本哲史

今の日本と30年前の日本で何が違うのか?どちらも資本主義社会であり、基本構造は変わっていない。

何が変わったのか?昔は手順は明確で努力すれば成功した。これが今の状況ではなりたたない。目的が与えられて、それに向かって走る時代は終わった。それよりも目的をつくることが大事。もちろん、30年前でも目的を作る人はいたけど、今はほとんどの人に目的設定が求められている。

人と違うことをすることが重要。それにはたくさん試すことが重要。そうするとたくさん失敗する。そこで現在は努力の総量ではなく、失敗してもやり直せる、立ち直れる環境に自分を置くことができるかどうかが成功を分ける。

たくさん失敗する中で、何が重要か、何が求められているかを学んでいく。これは研究者のスタイルに近いんだけど、今後は、いろんな人がこの生き方をするようになるだろうってこと。この生き方では、単純な努力と結果が比例しない。

ほとんど進歩が無いように見える中、あるとき突然ジャンプアップする時が来る。その時まで自分が耐えられるか、その時を信じられるか。精神力だけではやっていけない。重要なのは、この時代を理解して応援してくれる環境に自分をおくことだ。なければ自分で作る。仲間を集めて、一緒にやっていく。

成功した人に取りいって、上手くいったやり方を真似てもだめだ。なぜなら、その人のやり方はその時よかっただけで今いいという保証はない。

それでも、その人は今後も成功する可能性が高い。なぜなら、本当の価値はその人自身にあるからだ。真似るんなら、その人の価値観や情報の集約の仕方を真似る。アイデアを作るやり方を真似るとよい。

ここで成功という言葉を使ったが、ここでいう成功は他の人に認められるという定義で使っている。人は社会的な動物だ。お互いを評価し合って生きている。その中で気持ち良く生きるには認められることだ。

今後、コモディティの値段は限界利益がゼロになるまで下がる。コモディティとは「スペックが明確に定義されている」商品のこと。スペック競争している時点で負けている。じゃあ、スペックを問われない人ってどんな人かってことだけど、具体的には述べらられていない。スペックを問われないってのは結局、人脈があって明確な結果を持っているなんじゃないんかな。

資本主義は終わらないと筆者は考えているが、果たしてそうだろうか?そもそも資本主義の定義が与えられていない。書かれているのは資本主義の反対が計画経済だということだけ。それだと、この世には資本主義と社会主義しかないことになるが、果たして本当にそうか?このことについては、別の記事で自分の意見を述べたい。

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